80 長からむ
--待賢門院堀河には､かたく将来を誓い合った人がいました｡
(恋人)わたしの愛は変わらない｡
いつまでもあなたを愛し続けるよ･･･｡
(堀河)うれしいわ!
(･･･でも､人の心がいつまでもかわらずにいるものだろうか｡)
この不安にかきたてられる気持ちを､歌によみました｡
｢いつまでも愛してくださるとおっしゃった｡
でもあなたのお気持ちは末長く続くのかしら｡
あなたの心をはかりかねています｡
そのために､わたしの心は､今朝のこの黒髪の乱れのように思い乱れずにはいられません｡｣
美しいしらべの中に､どきっとする色気を感じる歌です｡
｢黒髪｣がきいています｡
｢背丈より長い黒髪が衣の上に乱れ､つややかにうねっている｡
朝の光がそれをあやしく照らす｡
女はその黒髪の上に身をのせて嘆き思い乱れる･･･｣
そんな光景だろうか｡
和泉式部の名高い歌
黒髪の
乱れも知らず
うち臥せば
まづかきやりし
人ぞ恋しき
とともに､黒髪の歌の名歌といわれています｡
1:作 3:も 4:歌
7:前 9:次 0:ﾎｰﾑ