五色暗記(青)
ながながしよを
こゑきくときぞ
しろきをみれば
をとめのすがた
みだれそめにし
もみぢのにしき
あかつきばかり
よしののさとに
ながくもがなと
くもがくれにし
けふここのへに
よにあふさかの
たつたのかはの
いづくもおなじ
はげしかれとは
あはれことしの
くもいにまがふ
うきにたえぬは
ころもかたしき
なほあまりある
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あしびきの
やまどりのをの
しだりをの
ながながしよを
ひとりかもねむ



おくやまに
もみぢふみわけ
なくしかの
こゑきくときぞ
あきはかなしき



ささぎの
わたせるはしに
おくしもの
しろきをみれば
よぞふけにける



あまつかぜ
くものかよひぢ
ふきとぢよ
をとめのすがた
しばしとどめむ



ちのくの
しのぶもぢずり
たれゆえに
みだれそめにし
われならなくに



のたびは
ぬさもとりあへず
たむけやま
もみぢのにしき
かみのまにまに



ありあけの
つれなくみえし
わかれより
あかつきばかり
うきものはなし



あさぼらけ
ありあけのつき
とみるまでに
よしののさとに
ふれるしらゆき



きみがため
をしからざりし
いのちさへ
ながくもがなと
おもひけるかな



ぐりあひて
みしやそれとも
わかぬまに
くもがくれにし
よはのつきかげ



にしへの
ならのみやこの
やへざくら
けふここのへに
にほいぬるかな



をこめて
とりのそらねは
はかるとも
よにあふさかの
せきはゆるさじ



あらしふく
みむろのやまの
もみぢばは
たつたのかはの
にしきなりけり



びしさに
やどをたちいでて
ながむれば
いづくもおなじ
あきのゆふぐれ



かりける
ひとをはつせの
やまおろしよ
はげしかれとは
いのらぬものを



ぎりおきし
させもがつゆを
いのちにて
あはれことしの
あきもいぬめり



たのはら
こぎいでてみれば
ひさかたの
くもいにまがふ
おきつしらなみ



おもひわび
さてもいのちは
あるものお
うきにたえぬは
なみだなりけり



きりぎりす
なくやしもよの
さむしろに
ころもかたしき
ひとりかもねむ



もしきや
ふるきのきばの
しのぶにも
なほあまりある
むかしなりけり